2026/10/05 08:00

ファッジって、どこで買うお菓子だと思いますか?
ファッジショップ?
もちろん、それもあります。
でも英国では、ちょっと意外なところでも売っています。
まず、ファッジショップの話をしますね。
きれいな形に整った角棒状のファッジがショーケースに並んでいて、量り売りされています。
「これを○○gください」
という買い方です。
お願いすれば、食べやすい大きさに小さくカットしてくれます。
その周りには、袋詰めされたお土産用やギフト用のファッジも並んでいます。
ロンドン中心部のバラマーケットにあるWhirld(写真)は、ノムさんの心に強烈なインパクトを残しました。
たぶん、ファッジの生地を型に流し込んで、冷えて固まったら、トンカチか何かで叩いて砕いただけなんでしょうね。
めちゃくちゃ大きな塊で売っています。
OHISAMAのファッジが、とても可愛いものに見えます。
売る方も売る方なら、買う方も買う方。
お会計が長い(笑)。
どれだけ買うのって話です。
多い人は何種類も、何袋も。
1kg以上買っていく人もいました。
そして薄い紙の袋に、ちゃっちゃっと入れて手渡し。
買ったそばから、食べています。
なんだか、市場で食べ物を買って、そのまま歩きながら食べているような感じでした。
まるで逆なのが、ファームショップや空港のファッジ売り場です。
ファッジメーカーが作った、きれいにパッケージされたファッジが売られています。
日本のお土産売り場と同じですね。
売り子さんがいませんから、商品自身が語らないといけない。
だから見た目も華やかです。
ところがスーパーに行くと、また面白い違いがあります。
ここは、ノムさんが訪れたコーンウォールのWadebridgeにあるTESCOで見たものとして聞いてください。
ガチャガチャみたいな容器で、量り売りされていました。
そこには20種類くらいのいろんなお菓子が入っていて、そのうちの1つがファッジ。
日本でも、おせんべい屋さんに行くと、ガラスやプラスチック製の密閉容器がずらーっと積んで置いてあるのを見かけることがありますよね。
まさに、ああいう感じ。
それを専用のスコップで、自分ですくって買うスタイルです。
ファッジショップみたいに、ファッジだけが何十種類も並んでいるわけではありません。
ノムさんにとってコーンウォールは聖地なのに、ファッジだけが特別扱いされていない。
それが、それでまた興味深かったです。
でも、こんな場所でも売られている。
そこに、ノムさんは英国のファッジ文化がちょっと羨ましくなりました。
まあ、ファッジで生きていくと決めたノムさんにとっては、
「日本は伸びしろしかない!」
と、元気も出ましたけどね。
ファッジを売っているところは、まだほかにもあります。
英国では、チョコレートショップにも、キャンディーショップにもファッジが売られています。
ファッジは、ファッジ屋さんだけのお菓子ではないんですね。
ただ、ここで一つ注意することがあります。
ファッジばかり探していると、ファッジの情報ばかり目につくようになります。
すると、
「英国はどこでもファッジが売っている」
と勘違いしてしまいそうです。
でも、実際はそうではありません。
エディンバラの空港や、エディンバラ城周辺の大きな土産物売り場には、ファッジが壁一面に山のように積まれていました。
でも、近くにある英国の大手スーパー、Sainsbury'sの小型店にはなかったりします。
英国中、ファッジがどこにでもあるという話ではなさそうです。
それでも、英国でファッジを買ってみて、面白いなと思ったことがあります。
「ファッジを買う」という行為に、特別な覚悟がいらないんです。
量り売りで好きなだけ買う。
お土産用なら、きれいな箱に入ったものを買う。
スーパーなら、いろんなお菓子の中から自分ですくって買う。
買い方が、いろいろあるんです。
日本だと、英国菓子好きが集まる英国展でさえ、
「ファッジって何ですか?」
から説明しなければなりません。
まだまだ越えるべきハードルがあります。
だからOHISAMAでは、「まず食べてもらう」ために2粒入りを作りました。
知らないお菓子を、いきなり大きな箱で買うのは勇気がいりますからね。
おかげさまで、初めての方も買ってくれるようになりました。
いつか日本でも、
「ファッジ? 知ってるよ」
と言う人が、当たり前のようにいる。
そして十年後、二十年後に、
「あのとき2粒入りを作って、たくさんの人に食べてもらってよかった」
と思える日が来ますように。
書いている人 ノムさん
広島生まれ。英国菓子と紅茶のある暮らしOHISAMA代表。
公務員の家庭に育ち、大学を卒業後は食品会社に就職。一念発起して会社を退職し、宮島でパン屋を創業したものの繁忙期と閑散期のギャップから体調を崩し僅か5年で離島。その後、業種を変えながら再起を図るもうまくいかず、借金が2,500万円まで膨れ上がる。
これが最後の挑戦と覚悟を決め、安定した人気のスコーンを深堀りしていくことに。すると、その原点であるスコットランドのスクーン城にたどり着き、そこから英国菓子に興味が広がっていく。何世紀も変わらないレシピや伝統といった神秘性にハマり、店では全然売れなかったがとにかく作り続けて、売れ残ったものを食べる日々を過ごす。
そんなある日、東京の英国展に招待されてから人生が大きく動き始める。広島でも英国菓子が売れ始め、中でもファッジは借金を完済できるようになるまで経営の柱に成長。今では英国へファッジの取材へ行ったり、ファッジの歴史を調べることが大きな生きがいになっている。
