2026/10/07 08:00

ファッジ作りで、一番大事なのは温度、、、だけではありません。
いや、でも、もちろん温度は大事です。
めちゃくちゃ大事です。(笑)
ファッジを作るときは、砂糖や乳製品を鍋で煮詰めます。
そのとき、どこまで煮詰めるか。
ここを間違えると、仕上がりが変わります。
だから、温度計は欠かせません。
でも、ファッジを作り続けていると、
「温度だけ見ていればいいわけじゃないんだなあ……」
と思うようになりました。
ファッジを作り始めた頃は、ファッジの煮詰まり具合を指で確かめていました。
「フィンガーボウルテスト」と呼ばれる方法です。
少量の生地を水に落として、指で潰すように触ってみる。
その感触から、煮詰まり具合を判断します。
これはこれで便利なんです。
ただ、やっぱり感覚なんですよね。
ノムさんも人間。
その日の状態によって、微妙に違ってきます。
しかも、たくさん作るようになると、「まだ柔らかいかな」と何度も確認しながら作るのは効率が悪い。
そこで、温度計できちんと測るようにしました。
温度を測る。
記録する。
仕上がりを見る。
そうやってデータを積み重ねて、自分たちのファッジに合う温度を探していく。
プロとして作るなら、やっぱりここは大事です。
お客様は同じ味を期待して、2回、3回とお買い上げになりますからね。
数字の大切さに気付き始めたところ、エジンバラの老舗で、それを目の前で見ました。
The Fudge Shopでは、ファッジの煮詰め作業を機械で管理していました。
温度だけではありません。
時間もです。
「やっぱり、そうなんだ」
と思いました。
長くファッジを作っている店でも、最後は職人の勘だけに頼っているわけじゃないんだ。
温度を測る。
時間を測る。
同じ条件を作る。
数字にできるところは、数字にする。
これは、やっぱり大切なんだと思います。
ところが、ところが。
温度をきちんと管理するようになっても、最後にどうしても数字では決められないところがありました。
それが、泡立て器を使った攪拌(かき混ぜること)です。
ファッジは、煮詰めたら終わりではありません。
型に流し込む前に、しっかり攪拌します。
この攪拌が、実はファッジの食感を作る大事な工程なんです。
ここで、砂糖の結晶を作っていきます。
じゃあ、親の仇を取るがごとく(表現が古臭いですね)、たくさん混ぜればいいのか。
、、、そうでもありません。
混ぜる時間が短すぎると、砂糖の結晶が十分に増えず、結晶も大きくなりやすい。
そうなると、食べたときに「ガリッ、ガリッ」とした硬い食感になってしまいます。
反対に、攪拌しすぎてもいけません。
今度は結晶が細かくなりすぎて、ファッジが割れやすくなったり、包丁で切っているときに崩れやすくなったりします。
つまり、
混ぜなければいいわけでもない。
混ぜればいいわけでもない。
ちょうどいいところがあります。
では、その「ちょうどいい」をどうやって判断するのか。
ここが超難しい。
温度計を見ても分かりません。
タイマーを見ても分かりません。
最後は、泡立て器から伝わってくる重さです。
最初はまだ軽い。
攪拌を続けていると、少しずつ重くなってくる。
そして、生地の表面も変わってくる。
「そろそろだな」
というところがあります。
これは数字ではありません。
手に伝わってくる重さと、目で見る生地の変化。
その両方を見ながら、型に入れるタイミングを決めます。
最初は、軽く手首の力だけで混ぜることができます。
ところが、だんだんと腕の力を使わないといけないくらい重くなってくる。
だからといって、混ぜるスピードを落としてはいけません。
攪拌を続けて、砂糖の結晶化を進めていきます。
煮詰め終わった直後は、生地の表面全体がつやつやしています。
ところが攪拌している間に、茶色からクリーム色へ変化していきます。
つやもなくなります。
砂糖の結晶が増えることで、光が乱反射するようになるからです。
それによく見ると、表面がざらついた感じにも見えてきます。
英国から取り寄せたファッジのレシピ本には、絶対に載っていない写真です。(笑)
手と目から得られた情報をもとに、泡立て器で生地を持ち上げる。
かろうじて生地が垂れてくるくらい。
それが、「今だ!」と思う瞬間です。
そうしたら、型に流し込みます。
ファッジ作りは、数字だけでも作れません。
かといって、感覚だけでもダメです。
温度は測る。
時間も記録する。
数字にできるところは、できるだけ数字にする。
そのうえで最後は、手に伝わる重さを見る。
生地の表情を見る。
数字と感覚。
ノムさんは思うんです。
数字で管理するようになったからこそ、数字では測れないものが見えてきた、と。
どちらか一方ではなく、両方を使う。
だから今も、温度計を見ながら、最後は泡立て器を握っています。
ファッジ作りで一番大事なのは、温度、、、だけではありません。
温度を測り、最後は自分の感覚で仕上げる。
その両方なんだと思います。
