2026/10/09 08:00

「20粒って、多すぎませんか?」
ノムさんもそう思います。
ファッジを初めて買う人からすると、余計そう思いますよね。
だから最初から20粒入りを作ろうと思っていたわけではありません。
ファッジを作り始めて最初の2年間、OHISAMAで販売していたのは、実は7粒入りの缶だけでした。
しかも、この7粒入りの缶がよく売れていたんです。
既製品でしたけど、モダンと懐かしさが融合したデザインも気に入っていましたし、お客様にも喜んでもらえていました。
だからノムさんは、
「ファッジは7粒くらいがちょうどいいんだろう」
と、なんとなく思っていました。
そもそも、入り数について深く考えたことがなかったんです。
ところが、しばらくすると、リピーターのお客様から意外な声が聞こえてくるようになりました。
「缶が家にたまって仕方ないんです」
「かわいいんだけど、捨てづらくて……」
あれ?
ファッジが好きで何度も買ってくださる人ほど、缶が増えて困っているぞ。
そういえば、あれだけファッジを買いに来てくれた人を、最近見かけなくなった気がする……。
これは、ちょっと困ったことになってきました。
そこで、缶ではなく袋に入れたファッジを作ろうと考えました。
これなら、食べ終わったあとも捨てやすいはず。
ただ、7粒のまま袋にしたのでは、缶との差がありません。
「じゃあ、どうする?」
そこで、
「これだけ買ってもらえるんだから、思い切って20粒にしてみよう」
となりました。
こうして、20粒入りの袋が誕生しました。
そして発売してみたら……。
いきなり、売上が逆転したんです。
その後も20粒袋の勢いは止まりませんでした。
気がつけば、缶の10倍以上売れる状態が続き、その差はどんどん開いていきました。
でも、
「20粒も入っていて、全部自分で食べているんだろうか?」
と素朴な疑問が浮かんできました。
気になって、お客様に聞いてみました。
一番多かったのは、
「大好きだから、自分で食べています」
でした。
そりゃそうですよね(笑)。
でも、その次に多かったのが、
「ファッジが好きな人にプレゼントしています」
でした。
ファッジが好きなお母様のために、味の違うファッジ20粒入りを2種類プレゼントされる娘さんもおられました。
さらに、小袋に詰め替えて、ちょっとデコレーションして、何人かに配っている方もかなりいました。
オンラインストアには備考欄やメッセージ機能があるので、
「布教を頑張ります!」
と言ってくれる方の、なんと多いことでしょう。
布教ですよ(笑)。
そこで、ノムさんは初めて気づきました。
20粒って、一人で食べるための20粒じゃないんだ。
自分で楽しんでもいい。
誰かにプレゼントしてもいい。
小分けして、みんなに配ってもいい。
20粒あることで、ファッジの使い方そのものが増えていたんです。
ところが、英国展に5回出てみると、また別のことが分かってきました。
英国展には、1日に350〜400人くらいのお客様が来られます。
そこでお客様を見ていると、ファッジを買ってくださる方は半分以下。
つまり、ノムさんが目の前でいくら説明しても、半分以上の方は買われません。
というより、
「それで結局、ファッジって何?」
という方が、まだまだたくさんいるんです。
そんな方にとって、税込1,300〜1,400円のファッジをいきなり買うのは、やっぱりハードルが高いんですね。
好きな人には20粒。
でも、知らない人には、20粒どころか7粒だって多いはずです。
そんなことを感じるようになりました。
そこで、まずはファッジの味や食べ方を知ってもらうことにしました。
6月、コーンウォールの旅から帰ってきてから、広島の店でのファッジの出し方を少し変えました。
アフタヌーンティーにはもちろんですが、紅茶を注文してくださった方には、ファッジを1粒付けるようにしたんです。
「まず食べてもらおう」
そう思ったからです。
すると、面白いくらいにファッジを買ってくださる方が増えました。
やっぱり、ファッジって説明だけでは伝わらないんです。
一度食べてもらう。
それが結局、一番早かった。
そして8月。
英国展から帰ってきて、2粒入りの小袋を作りました。
「まず食べてもらう」ためのファッジです。
店舗とオンラインストアで販売してみると、これがまたよく売れました。
特に店舗では、小袋ばかり売れるようになりました。
缶も大袋も、ほとんど動かなくなるくらい。
「あれ、これはこれで困ったぞ(笑)」
となって、現在は店舗での小袋販売をいったん休止しています。
でも、オンラインストアでは、初めての方やギフト用として、
「これよ、これ!」
と言った声が聞こえてきそうなくらい、買っていただいています。
ここまでやってみて、ようやく分かってきました。
20粒と2粒は、どちらがいいという話ではなかったんです。
20粒は、自分でファッジを楽しむ人にも、ファッジ好きな人へのプレゼントにも、小分けして配るのにも向いている。
一方で2粒は、
「ファッジって、どんな味なんだろう?」
という人が、最初の一歩を踏み出すためのサイズ。
同じファッジでも、食べる人によって必要な量が違うんですね。
何粒が正解なのかではなく、どんなふうにファッジを楽しみたいのか。
それによって、ちょうどいいサイズが変わるんだと思います。
そして、2粒入りを作ったことで、もう一つ面白いことができるようになりました。
季節ごとの小袋を作ったり、限定のデザインを考えたり、いくつかの味を組み合わせてコレクションにしたり。
小さな2粒入りだからこそ、ファッジの世界をいろいろな形で見せられるようになったんです。
日本橋三越英国展2026を終えてすぐ、6月に訪ねた聖地のファッジから影響を受けて、限定コレクションも作りました。
三越伊勢丹オンラインストアのクリスマス企画には、クリスマスらしいデザインの限定コレクションも作りました。
以前は「ファッジを売る」ということしか考えていませんでした。
でも今は、ファッジそのものだけでなく、
「ファッジって、こんなに楽しみ方があるんだ」
という世界も一緒に届けられるようになってきました。
だから今では、20粒を「多すぎる」とは思っていません。
そして、2粒も「少なすぎる」とは思っていません。
その人のファッジとの付き合い方によって、ちょうどいい粒数がある。
それが、20粒と2粒を作ってみて分かったことです。
